
丸岡秀子の著作の中で多くの読者をもつ「ひとすじの道」。作者の自伝的小説です。
第一部「ある少女の日々」は恵子の四歳の記憶から始まります。母親に生後まもなく死別し里子に出され、その乳母と引き裂かれた時の悲しみの記憶です。その後は祖父母に愛され、しかし、農業と養蚕に追われる厳しい小作農業の暮らしでした。その中で、祖母は「女も一芸を持てよ。これで暮らせるというものを持てよ」「苦労から逃げてはいけないよ」と恵子に教えます。恵子はこの少女期から、さまざまな差別や矛盾に心を痛めます。
第二部、第三部と成長する恵子の考え方が書かれていますが、「本物の教育、いのちを育み、かつ、分かれ道にさしかかったときしっかりとした判断力をもち、強い心を持つ人間を育てたい。」という作者の気持ちが伝わってきます。
少し古いお話しですが、高校生の皆さんには、文学史を理解するためにも読んで欲しい1冊ですし、「分かれ道にさしかかったときしっかりとした判断力を持つためにも」恵子の生き方について読んでもらえたらいいなと思います。