
長門奈良登りで掘り出す銅造りの苦役もさることながら、都での大仏建立という大事業に、「蟻」のように働いた人足の過酷な労働と生活、散った命が描かれています。
主人公「国人」はこの苦役の中で、兄を、仲間を、愛する者を失っていきます。その中で国人が見たこと、感じたことを通して私は「人間の生き方を」を教えられた気がします。最後の最後は仏のように悟った国人に「人生は諦めてはいけない」と・・・
この本の中に、心に残る言葉がたくさんありましたが、一つだけ。
「三の中に一が含まれ、十の中に三もある。従って十も一であり、一も十である。」そうするとありとあらゆるものがつながって、別々とは言えなくなる。善の中にも悪があり、悪の中にも善が入り込んでいる。それが本来の万物の姿なのだ。国人が思い巡らせた僧の言葉です。私たちの生活にもあてはまる気がします。
「国銅」地味な作品だけど、読んで良かった。奈良の大仏様を拝顔に行きます。